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2016年8月15日 (月)

コミック:「11人いる!」

「11人いる!」は、1970年代の日本のSFコミック。萩尾望都の作品である。
私が、思春期に差し掛かった小学校高学年の時、クラスの本棚にこの作品があって、
私は大きな影響を受けた。

遠い未来、人類は広く宇宙に進出している。
そして、宇宙大学という宇宙船パイロット養成の超難関大学があって、超高倍率の
筆記試験を通過した優秀な受験生達に課せられる最終試験は、本物の宇宙船で
10人一組で53日間を過ごすという実技試験なのである。
(53日過ぎる前に緊急ボタンを押すと大学が救助に来るが、試験は不合格となる)

しかし、最初から異常事態が発生する。
1チーム10人の筈なのに、11人いるのだ・・・
11人目は誰なのか?その目的は何なのか?
・・・というストーリーである。

主人公は、(一応?)タダという青年である。
そして、フロルという青年?も登場する。(こちらが本当の主人公かも知れない。
「11人いる!」が少女漫画であることを考えれば、少なくとも、読者の感情移入対象は
フロルの筈である。)
他の受験生たちは、最初フロルを見て女性だと見做す。
華奢な体つきや長い髪は女性にしか見えなかったからだ。
しかし、フロルはそれに猛反発する。
「オレは男だ・・・」
しかし、やがて、フロルは男女に分化する前の男でも女でもない存在であることが
判明する。
フロルの星の人達は、一定の年齢になるまで、男でも女でもない。
放っておけば、ホルモンの働きで自然に男か女に分化するが、
慣習として、長子は男性ホルモンが与えられ男性に、
後から生まれた子供たちには女性ホルモンが与えられ、女性になる事になっている。
フロルは、長子ではないので、女性ホルモンを与えられ、女になる運命だった。
しかし、フロルはそれに反発し、宇宙大学に合格したら、男にしてもらうという条件のもと、
受験にやってきたのだった。

11人目は誰なのか?と皆が疑心暗鬼になっている中、宇宙船を数々のトラブルが襲う。
その中で、タダとフロルの間に愛情が芽生える。
結局、彼らは、53日間を全うできず、緊急ボタンを押すことになる。
それは、フロルの「男になりたい」という願望が成就しない事を意味した。
タダはフロルに言う。
「ぼくと結婚しなよ」
それを受け入れるフロル・・・

ところが、宇宙大学からの救助がやってきて、彼らが実は合格していたことが判明する。
フロルは、男になれる訳である。
タダはフロルに言う。「よかったな。少し、残念だけど・・・」
それに対してフロルは言うのだ。
「オレさ、おまえがそういうなら女になってもいいや・・・」

私は、この「女になってもいいや」のシーンのフロルに本当に憧れた。
男になりたいと願い、その為に努力し、そしてその権利を手に入れたところで
自ら女を選ぶ・・・
羨ましかった。

だが、今考えると、この作品は、女性漫画家である萩尾望都が女性読者に向けた
「自分が女であることを肯定しよう」というメッセージのように思われるのである。
だとすれば、私は、このストーリーを正反対に書き換えなければならない。
「男になることを運命づけられながら、女になりたいと願い、そのために努力し、
そして女になる権利を手に入れた主人公が結局最後に自ら男になることを選ぶ」
そういうストーリーにしなければならないのである。
そういう「男性肯定」の為に、この作品を読んでから約35年経った今でも、
私は努力を続けているのである。

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