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2018年10月25日 (木)

女性専用車両は本当に痴漢対策か?

2003年に大阪市営地下鉄(当時)御堂筋線の女性専用車両の違法性を巡って
地下鉄利用者の男性が大阪市を訴える裁判が起きている。
私は、2005年に原審(第一審)の大阪地方裁判所へ出向き裁判の資料を閲覧しており(注1)、
その際筆写したものは今でも手許にある。
結局、裁判は、女性専用車両に違法性なしという不当判決が最高裁で下りているのだが(注2)、
この裁判で幾つか気になるところがある。

当時の御堂筋線の女性専用車両は朝ラッシュ時のみの設定であり、この裁判においても、
「土日祝日や平日午前9時以降は、被害の申告が目立って少ない」という事実認定を
した上で「被害の多い時間帯に男性の任意の協力で行われている制度だから適法」(大意)という
判決を下しているのだが、2004年に大阪市交通局は、その「被害の申告が目立って少ない」時間帯にまで
女性専用車両を拡大したのである(女性専用車両の終日化)。
民事裁判の原則から考えて「9時以降の被害の申告は目立って少ない」
(そして女性専用車両はその時間帯に限っているのだから合法)という主張は大阪市側がした筈である。
その主張に沿って、最高裁が原告男性の請求を棄却した途端、それを待っていたかのように
今度は、自らの主張を反故にするような女性専用車両終日化を打ち出したのである。
(最高裁判決は2004年6月8日付、御堂筋線女性専用車両終日化発表は同年8月20日)
全く、信義にもとるとしか言いようがない大阪市の行為である。
(そしてこの行為は「痴漢対策として女性専用車両を導入している」というのが、
ただの口実でしかないことを示唆している)
原告の無念さは、察するに余りあるといえよう。

また、判決は「国土交通省が導入を推進し、多くの鉄道事業者が導入しているから合法だ」
というような判旨も述べているが、これはむちゃくちゃとしか言いようがない。
国土交通省(国)が推進しているからこそ、憲法違反の人権侵害なのではないか。
また、多くの事業者が導入していることが合憲合法の根拠になるならば
「皆が道路を渡っていれば、信号は青」ということになってしまう。
「皆んなが渡っている」ことを根拠に裁判所が「信号は青」判決を
出してしまっていいのだろうか?
渡っている人の多寡にかかわらず「赤信号か青信号か」を判断するのが裁判所の
役割である。
そして、本当は赤信号なのに、集団で渡ることによってそれを正当化しようとする者が
いるならば、それは悪質な行為なのである。

その後も約15年間、女性専用車両は「ちょっとだけ」を名目に拡大し続け、
反対の声が高まれば少し引っ込める(例えば、東横線の「終日」女性専用車両の廃止)が
隙あらばまた拡大。
そしてそれを既成事実化するという行為を繰り返してきた。
こうやって、今日では、女性専用車両は、全国大都市で「痴漢対策」では
説明のつかない規模と内容にまで拡大しているのが現状なのである。
それなのにネットやマスメディアで「女性専用車両は痴漢対策である」ということを
前提に議論が進んでしまっていることが残念でならない。(専用車推進側の思惑に
まんまと嵌ってしまっているということだ)

(注1)裁判の資料は、裁判が終わると原審の裁判所に一定期間保存され、請求すれば関係者でなくても
閲覧可能である。
(注2)ただし、最高裁は「最高裁への上告要件を満たしていない」という理由で上告を棄却しており、

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