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2018年12月

2018年12月25日 (火)

書籍:ベティ・フリーダン 『新しい女性の創造』(1963年)

このブログの読者(特に若い読者)には、”ベティ・フリーダン”の名を聞いても分からない人も
いるかも知れない。(wikipediaの日本語版にも”ベティ・フリーダン”の項目がないので、
ちょっとびっくりしている)

しかし”ベティ・フリーダン”は私が若かった1980年代にはしばしば聞いた名前である。
彼女はアメリカ人でそもそもはジャーナリストだったが、1963年に出版した"The Feminine Mystique"
(邦題『新しい女性の創造』)は、1960年代、1970年代のアメリカウーマンリブ運動に大きな影響を与え、
彼女は一躍有名になった。
そして、現在でもアメリカ最大のフェミニスト団体であるNOWの初代会長となった。
但し、彼女自身は、その後、フェミニズム運動の中で保守派と見做されるようになり、
運動の主流から外れていった(早い話がラジカルフェミニストから追い出された)。
そんな訳で「新しい女性の創造」を読んでも、今のフェミニズムの主張が理解できる
わけではない。
しかし、60年代、70年代ウーマンリブ運動の初期の主張を理解する助けにはなる
だろう。

『新しい女性の創造』の内容をかいつまんで書いてみよう。
「人間は誰しも自らの成長を望むものだし、成長してこそ人間である。
そして、人間の成長は高等教育を受け専門職に就いて働いた時に可能となる。
それなのに、現代アメリカ(とは言っても1960年代の話だが)の女性は
若くして結婚して家庭に閉じ込められてしまう。
これは女性の人間としての成長や自己実現が妨げられてしまうということである。
そしてそれは単に女性だけの問題という訳ではなく、現代(1960年代)のアメリカ社会の諸問題が、
実は、女性が家庭に閉じ込められていることに原因があるのである」
・・・という要旨の本である。

中でも私の印象に残ったのは「男性が月に行く時代になったのに、女性は家庭に閉じ込められている」と
いうようなフレーズである。
そこで、今回はこのフレーズについて考えてみたい。

確かに男性は月へ行った。(1969年)
しかし、同時に戦場にも行ったのである。(ベトナム戦争1955年-1975年)(注1)
そして勿論、月に行った男性よりも戦場に行って殺し合いをする羽目になった男性の方が
圧倒的に多い。(注2)
しかし、ベティ・フリーダンには、そのような男性だけが負い、女性は負わなくてもいい
負の役割が見えなかったようだ。
男性が戦争へ行くという話は何回か出てくるが、それが女性に与える影響しか書いて
おらず、男性が出征した先の戦場で体験する殺し合いの辛さや
「何故、女性は戦争に行かないのか」という疑問提示は一切見られないのである。

更に言うならば、月へ行くというのは確かに偉業であり、人類の進歩の最先端を
体験すると言うことだ。
しかし、非常に危険な挑戦でもあったのである。

もし将来、月旅行の安全性が確立されれば、女性も月旅行へ行くようになるだろう。
それどころか、旅行会社はこぞって「月旅行に行きたい女性を狙え」という戦略を立てて、
月旅行の女性割引や女性専用月ロケット、女性専用月ホテルを登場させるに違いない。
ベティ・フリーダン自身が認めているように女性が「消費の女王」だからだ。(注3)
今、私たちが生活している社会に大手を振って存在している各種女性割引や女性専用○○を考えれば、
決して冗談ではないことが分かるだろう。

(注1)因みに、アポロ計画(人類月面着陸)もベトナム戦争も、アメリカ対共産陣営の対決の中で
生まれたという意味で根は同じである。
宇宙における対決の結果がアメリカ人宇宙飛行士の月面着陸であり、地上における対決の結果が
ベトナム戦争だったのだ。

(注2)しかし、そのような現実を無視して「戦争の一番の犠牲者は女性や子供」という
見解を述べるのが「良識的」とされていることに暗然とせざるをえない。

(注3)本書の第9章は、そのものずばり「消費の女王」というタイトルである。
勿論、ベティ・フリーダンは女性が「消費の女王」と祭り上げられることに否定的である。
(この章については、機会を改めて取り上げたい。)

参考文献 ベティ・フリーダン 三浦冨美子訳『新しい女性の創造』(大和書房、改訂版、2004年)

2018年12月18日 (火)

男性差別:九州旅行結果報告(RE:JR九州「ハロー!自由時間クラブ」)

以前書いた九州旅行に行ってきた。
前回の記事に書いたことだが、私は50歳以上の女性であれば入会できるJR九州の「ハロー!自由時間クラブ」に
男性であるが故に入会出来ない(男性は60歳以上でないと入会出来ない。私は現在50代である)。
従って「ハロー!自由時間クラブ」会員なら購入できる「ハロー!自由時間ネットパス」(15500円)を
使うことが出来ず、「ぐるっと九州きっぷ」(14000円)を使わざるを得なかった。
両者を比較すると「自由時間パス」の方が1500円高いが、その代わり、特急指定席に
追加料金なしで乗れるという大きな利点がある。
結果的に、私は男性であるが故に8640円(特急料金等10140円-1500円)多く支払う羽目に
なった。(前回の記事では「1万数千円多く支払うことになるだろう」と書いたが、
旅行中の疲労による旅程縮小でこの金額となった。)
旅行中もこの差別のことを考えると、ちっとも楽しくなくなってしまっていた。
一体いつまで好きな鉄道趣味や旅行で、乗れる車両の制限や、より多額の経済的負担、
それに伴う精神的苦痛を味合わなければならないのだろうか。
(取り敢えず、JR九州には抗議メールを出すつもりでいる)

2018年12月 4日 (火)

『君たちはどう生きるか』で考えるリベラル思想と逆保守の違い

しばらく前から吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』がブームになっているようだ。
私は過去にこの本を2回読んでいる。
1回目は小学生の時、2回目は中3の時の学校の道徳の授業でである
(道徳の授業は、校長先生が担当する。その校長先生が選んだ教材が
「君たちはどう生きるか」であった)。
小学生の時に読んだハードカバー本は今でも所蔵している(今、目の前にある)。

当時(特に小学生の時)、私がこの本の意味の意味を正しく理解したかどうか、
甚だ疑問である。
しかし、冒頭の主人公の少年(読者の分身)と主人公のおじさん(作者の分身)が
銀座のビルの上から東京の街を眺めるシーンは覚えている。
おじさんと出かけた銀座のビルの上から東京の街をたくさんの人や車が行き交うのを見て、
主人公は、自分自身も高いビルの上から見下ろせば、そのうちの一人でしかないことに気付くのである。
人間は、基本的に自分を中心に物事を考える性質がある(天動説的絶対主義とでもいうべきか)。
しかし、客観的に見れば自分は世界の中心ではなく、沢山の人達の中の一人に過ぎない
のである。
そのことに気づいた主人公におじさんは地動説を提唱したコペルニクスに因み「コペル君」というあだ名を
つける。
この「客観的に見れば自分は世界の中心ではなく、沢山の人間の中の一人でしかない」
という視点こそリベラル視点である。
では、中心はどこなのか?
中心などない。あってはならない。(*注1)
これは、すなわち「皆平等」を意味する。
このように(少なくとも私の解釈では)リベラルとは地動説的相対主義に基づく平等思想の
はずなのである。

ところが、実際には往々にしてリベラルと自称する人の多くが天動説的絶対主義者で
ある。
但し、保守主義者とは善悪が逆転している。
保守主義者が「地(自分とか自国)が善で、自分たちの周りを回っている者(他者、他国)が悪」
と考えるのに対し、自称リベラルは「地(マジョリティ)が悪で、天(マイノリティ)が
善」と考えてしまう訳だ。
しかし、結局のところ、これも一種の天動説ではないか?
私が、自称リベラルを「逆保守」と名付ける所以である。

男女差別で言えば「男性が絶対的マジョリティ(悪)で女性が絶対的マイノリティ(善)、
男性差別など言い立てる奴は、差別主義的保守主義者」と考えてしまう訳だ。
しかし、私には男性が絶対的マジョリティであるとはとても思えない。
(逆に、男性が絶対的マイノリティで女性が絶対的マジョリティであるとも思わない)
男性には、様々なマイノリティ要素がある。
それについては、このブログで何度も書いてきた通りだ。

しかし、彼らは天動説にしがみついたまま、女性絶対マイノリティ説を捨てない。
「進歩」を主張する彼らの思想は、実は、数百年前、頑なに「地の周りをお天道様や
月や星が廻っている」と信じていた人々と大して変わりがないのである。

(*注1)しかし、現実には、世界には大きな力を持っている国(例えば、アメリカ)や権力者や
お金持ちが存在する。そして、彼らはあたかも自分が世界の中心であるかのように
振る舞うのである。そういう訳で、大概のリベラルは反米的である。
逆に保守主義者が太平洋戦争での敗戦やアメリカ主導で立法された日本国憲法に恨みを
抱きながらも親米なのは、アメリカが大きな力を持っているからこそである。
アメリカ親分に従っていれば、世界の中心になることはできなくても、中心に近い位置には
いられる訳だ。

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