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2019年7月 4日 (木)

渡辺恒夫『脱男性の時代』を読む その6

私が『脱男性の時代』を読んでいて「鋭い」と感じたのが、男性同性愛者(以下「ゲイ」と呼ぶ)の
心理についてである。
簡単に言えば「男らしさに欠けるが由に男らしさに憧れ、その憧れが性欲になってしまった人達」が
ゲイだという論旨である。
ゲイの人達は、幼少期に「女々しい」という評価を受けた人が多く、それを自らに対する否定的評価として
認知するため、「男らしさ」や「男らしい男性」に対する強い憧れを持つようになる。
その憧れが思春期に性欲と結びついて「男らしい男性」への性欲となってしまう。
そして、男らしい男性と男らしいセックスをすることによって自分が「男らしい男」になったという
満足感を得る、という心理機序だと言うのである。
これは、1980年代末頃からゲイのパソコン通信ネットワークに入会して彼らの書き込みを
読んでいた者として「当っている」と感じられる説である。
しかし、私からみて「当っている」と感じられるこの説と同様の見解を何故か他で見かけたことがない。
ゲイ当事者がゲイが発生する原因を論じているのはネットでも出版物でも何度も見た。
遺伝子説、女性型脳説、胎児期に母親がストレスを受けた影響説など様々である。
しかし、渡辺恒夫のような心理機序を述べているものは何故か見当たらなかった。
(因みに遺伝子説、女性型脳説などは物理的原因であり、渡辺恒夫の説は心理的原因だから両者は併立し得る)
全く外れているから見当らないのか、逆に当り前過ぎるから見当らないのか、
そもそも問題の捉え方が異なっているのか、謎である。

因みに今日、LGBTの権利が叫ばれ、それに保守層(保守的な同性愛者も含む)が反発しているのは
読者も知っている通りである。
しかし、ゲイ差別を近代市民社会的「人権」概念で批判したとしても、そもそも男性同性愛をアブノーマルに
してしまったのが近代市民社会そのものであるとすれば、根本的な解決にはならないのである。
『脱男性の時代』はそういう問題を提起している。

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